性格がとてもいいです

性格がとてもいい人が書くとてもいい内容のブログです

ねぇ、脳内バニラ。


甘ったるいバニラの香りを纏った彼女に

「私、別にあなたじゃなくていい」

といわれ振られたことがあります。

「私、あなたといても得しない」

といわれ振られたことがあります。

失恋としてよりも、言葉の破壊力に打ちひしがれたのを覚えています。

f:id:miyamu49:20151203002947j:image


「あなた、雨が降る土曜日の夜に、1本の傘を持って迎えに来てくれたよね。

わざとらしく傘を私に寄せて、肩を濡らすあなたのことが嫌いだった。

そんなことなら2人で濡れて帰りたかった。」
f:id:miyamu49:20151203120548j:image


「あなた、私が悩んでるとすぐ、相談乗ろうか?って話を聞いてくれたよね。

そうかそうか、大変だったね。

って何も自分の思いは言わず、私の鬱憤を並べた言葉を馬鹿みたいに飲み込むあなたが嫌いだった。」

f:id:miyamu49:20151203120932j:image




「あなた、私と歩くとき、そっと車道側に立って歩いてくれたよね。

私の歩くスピード気にして、ぎこちなくゆるやかに歩くあなたのつまさきが嫌いだった。

並んで歩かなくても、私はあなたの後ろ姿に惚れてたのよ。」

f:id:miyamu49:20151203120828j:image

「小学校のとき、男子は聞いちゃいけない女の子だけの授業があったの。

そのとき男子は私たちにしつこく聞いてきたわ。それでね、私も大人になって思うようになったの。

男は女の前でこうすればいい、みたいな授業でもあったの?

肩を濡らせば女は喜ぶと思ってるの?
反論せずに話をただただ聞けば女は喜ぶと思ってるの?
車道側を歩けば女は喜ぶと思ってるの?

心配しなくてよかったのに。そんなことしなくても、私はあなたを嫌いにならなかったのに。

次はどうするの?

人肌恋しいって言ってる誰かに優しくするの?
誰かに勧められたイタリアンに誰かを連れて行くの?

あなたって、

短冊に書いた願い事と、
神社に手を合わせて願う事って

違いそうよね。

誰かに見せるための幸せな願い事と
自分の中だけの欲望のための願い事と。

いつまでも隣にいられますようにって、

それも授業でいわれたの?」

といわれ、振られたことがあります。

f:id:miyamu49:20151203003453j:image

何にも言えませんでした。

冷えた雨の中、彼女の横顔を見つめて話していたら、自然と僕の肩は濡れていました。

伏し目がちに涙をこらえる彼女の目を見つめていたら、話の内容なんか入ってこなくて、大変だったねとしか返せませんでした。

一歩車道側を歩いたとき、歩道との段差で
「あ、私の方が背高いんじゃない?」といたずらっぽく笑ったのが忘れられなくて、癖になってしまっていました。

f:id:miyamu49:20151203120321j:image


七夕でも、神社参拝でも、
「どれだけ時間が経っても、彼女が幸せでありますように。」
とだけ願いました。


あなたを幸せにできる相手は僕じゃなかったみたいですが、
必ず幸せになるはずです。あれだけ願ったので。

f:id:miyamu49:20151203120336j:image

これからは何を願おうかな。

くだらない事でも神様は叶えてくれるかな。


『あの甘ったるいバニラの香りの記憶を、
僕の中から消してください。』

f:id:miyamu49:20151203005427j:image






もう、遅かった。

プラネタリウム
一つの星の歴史を知りたい僕。
「わー綺麗!あれ結んだらわし座なの?見えないね!ね!?」と笑う君。

f:id:miyamu49:20151105233306j:image

ケースを選ぶのに何日もかける僕。
「また画面割っちゃったー!」とヒビを見せてきた君。
f:id:miyamu49:20151105233309j:image


美術館。
作者の生い立ち、作品の詳細を知りたい僕。
「早く次のとこ行こ!お腹すいた!」と早足な君。

f:id:miyamu49:20151105233325j:image


満月の夜。
月をしばらく見上げ、月が綺麗ですね、と試すように言った僕。
「えー、月がデブ!可愛くない!」と意表を突いた君。

f:id:miyamu49:20151105233333j:image




まるで真逆だった。
僕は君と分かり合えないと思った。

けれど君は僕に
香水を振った、1通の手紙を書いた。

『字、下手だけど最後まで読んでね!』
と、甘く丸い字に、僕は確かに恋に落ちた。
好きだと思った。



寂しさは気温のせいだと、誰かは言った。

夏の気温は高すぎて、まるで誰かにまとわりつかれているような感覚だったのに。

秋には突然、暴力的な突き放され方をされたような錯覚に囚われるのは

夏の誰かの体温が消えるからだと、誰かは言った。

恋の旧字体は『戀』で、
言葉と心を糸で繋いで、
決して容易く離れないようにと、
作られた言葉だと言う。

マスカラを落とす男になるな。
口紅を落とす男になれ。
そんなことも言われた。


あぁ、なんだかくだらないことを
つらつらと書いてしまった気がする。


その手紙の最後に書いてあった言葉を
残してこの日記を締めくくる。


『私はあなたの彼女でいられない。
あなたは
私じゃなくて星を。
私じゃなくてケースを。
私じゃなくて説明書きを。
私じゃなくて満月を見てたでしょ。

私はこっそり、
あなたの横顔を見つめていました。

あなたと目は合わなかったけれど。

これからは、さようなら。』


まぁ、いいや。



桜は ひらり舞い落ちるから美しい
f:id:miyamu49:20151101234354j:image


花火は ゆらり消えゆくから美しい

f:id:miyamu49:20151101234405j:image


紅葉は はらり散るから美しい
f:id:miyamu49:20151101234413j:image



雪は ふらり溶けるから美しい
f:id:miyamu49:20151101234530j:image



恋は ふたり 離れるから美しい。

f:id:miyamu49:20151101234553j:image


離れる2人だからこその狂おしいほどの愛しさがそこにある。

と、僕は思っている。
完全なる恋などない。

燃え上がった恋は灰となって散るしかない。

それでもまだ種火のようにしぶとく燃えているのなら、

それは恋ではなく“執着”だ。

恋愛中毒患者は年中常に口を開けば唱える。

春は出会いの季節ね、恋の季節ね
夏は燃える季節ね、恋の季節ね
秋はひと肌恋しい季節ね、恋の季節ね
冬はクリスマスの季節ね、恋の季節ね

年がら年中、恋をしたいと唱える。
その度に傷ついて、傷ついた自分に満足する。

幸せになることよりも傷つくことを望んでいる。その人は認めないけどね。


『失恋』を『恋』よりも、愛してしまっている。

f:id:miyamu49:20151102000655j:image


別れ際に
『あなたは、私のこと一生忘れないと思う』と
消え入るような口振りで放った女がいた。

その女は以前
『気持ちよくなるだけ気持ちよくなって、満足したらポイ捨てするんでしょ、タバコと一緒なんだ私。』

と少女のようなことを言っていた。

いつしか少女は女になっていた。
タバコをやめることが、どれだけ難しいことか、バレてしまったのか。f:id:miyamu49:20151101235539j:image

手が綺麗だね。

と褒めると

『この手でどうされたいの』

と返す、そんな女。

f:id:miyamu49:20151102001004j:image

キスをする時、冷えた鼻先を 

僕の鼻先に恭しく擦り付けてから

唇をくわえる、そんな女。

僕は君のこと、一生忘れられないのか。f:id:miyamu49:20151102000954j:image



まぁ、いいや。外は寒いな。



1人で生きていく。


君は泣き晴らした目をうつむけ言った。

f:id:miyamu49:20150920004445j:image

「あなたと一緒にいなくても
私は大丈夫。1人になるだけだもん。
少し、寂しくなるくらい。
少しだけ寂しいまま、
1人で生きていくくらい。
大丈夫よ。気にしないで。


別れ話をするつもりの最後のデートで
何か悟ったような顔をして
君は僕にインスタントカメラを渡した。

f:id:miyamu49:20150920004457j:image

「いつか私のこと忘れた時
私と居た時間も、見た景色も
何もかも忘れた時

不意にこのフィルム現像して
今日のこと思い出して。
それが私の悪あがき。かわいいでしょ。」

なんといえばよかったんだろう。
君は僕によく
「ずるいね」って言ってたね。
そんなつもりじゃなかったのに
こんな気持ちにさせてたのか。


そんな哀しい顔をして
そんな可愛いこと言うのは
ずるい。

f:id:miyamu49:20150920005923j:image

「今日のデートでそのカメラの38枚、全部撮ってね!」

無理に明るく振舞った君を見て
ぐっと涙が溢れそうになったから
隠すように目にカメラを当てて
撮った。

パスタを頬張る口元。
長いまつげ。
僕とおそろいのピアス。
細く長い指先の秋色ネイル。
最後になるだろう、繋いだ手。

f:id:miyamu49:20150920005406j:image

普段見落としていたような
君の細部を、今更よく見つめるなんて。
僕は本当に君に相応しく無い彼氏だった。

「今日は楽しかったありがと。
今日も。か。

君はへへっと笑いながら、
まだ終電には早い23時の駅の改札で
別れを飲み込んだ顔をした。

さよなら、今までありがとう。

「こちらこそ、ありがと。
フィルム、すぐ現像しちゃダメだよ!じゃあね!」

と最後まで明るく手を振って、
改札を通った君を見送って以来、
僕は彼女に会っていない。



すっかりそんなことを忘れた数年後、
僕は不意にそのフィルムを手に取り
うっすら彼女のことを思い出した。

あぁ、そんな彼女もいたなぁ
なんて失礼なこと思ってしまった。

現像して出来上がった写真をみて
あの頃の思い出が断片的に、
しかし鮮やかに息を吹き返した。

1枚だけ、なんだろう、と思う写真があった。






f:id:miyamu49:20150920010826j:image
そのとき初めて僕は知った。
あの時渡されたインスタントカメラは

39枚撮りだったんだ。



彼と朝と

f:id:miyamu49:20150902083430j:image
『朝早く彼が仕事に出かける時、
私を起こさないように
そっとベッドから出て準備するのね。
f:id:miyamu49:20150902083344j:image
薄目あけて見てるんだけど、
すごくその仕草が愛おしいの。

バタンと閉まったドアの音聴いて、
少しの合間お願いをするの。

忘れ物してますように、って。
意外とお願いって叶うのね。

またそっと忘れ物を
取りに帰ってくる彼に
今起きたフリをして
今度はちゃんと おはよう と
行ってらっしゃい で送り出すの。
f:id:miyamu49:20150902083405j:image
一息ついて、彼の匂いの残る毛布を抱きしめて二度寝。幸せの限りよ。
陽が真上に上がる頃、名残惜しく着替えて
髪を巻いて軽く化粧して。

最後に思いっきり部屋に香水振るの。

この部屋に、このベッドに、
彼の彼女が戻ってくるなんて許せない。
私の香水がバレて別れればいいの。』

f:id:miyamu49:20150902083317j:image



いったり、きたり

『好きだよ』と言われると

「いつまで?」と喉まで出てくる言葉をぐっと飲み込む癖があるんです。

女は言った。
f:id:miyamu49:20150517224716j:image
続けて目を潤ませて

一生大切にするなんて、そんな戯言を信じた私のほうがどうにかしている、
我を忘れて恋したことが、恥ずかしくてたまらない。
一生続く恋愛なんてない。そう学びました。

と言った。
昔になにがあったの?と聞くのはやめた。僕が知ったところで、彼女の中ではもう
結論が出ていたようだったから。

恋をすると、人は本来の姿に戻されてしまう。

いくら強がって感情に栓をしても、とめどなく哀しさが溢れる。
仕事をしていても、友達と遊んでいても、ふと哀しさがこぼれそうになる。

憂鬱というよりも、やるせない空しさが、自分を一番に必要としてくれる人失った喪失感が
波のように打ち寄せてくる。

なぜこんな気持ちになってしまうのか。
一途に恋した気持ちを、色鮮やかに思い返してしまうからだ。
付き合っているときはその色がモノクロに見えがちだが
終わってしまった恋は、チカチカと嫌に華美になる。

夜中に突然、会いたくなること
思い出しただけで、枕をギュっと抱きしめてしまうほどくすぐったくなること
触れているだけで、満たされること
小さな言葉に、たまらなく傷つくこと
唇を重ねるたび、二度、三度求めてしまうこと

恋をすると自分をコントロールできなくなる、
自分がコントロールできる範囲の、作り上げた姿ではなくなってしまうから。
それが怖くて、恥ずかしくて、逃げてしまうのだろう彼女は。


別れが来るのは仕方がない、
早いか遅いかの違いだけだ。

大人になったつもりの恋は、そんな結論を心の真ん中に潜め、どんどん速度をあげていってしまう。


『あなたといたかった』と『一人で平気』をいったりきたり。
f:id:miyamu49:20150517224703j:image


季節の話、

『季節はすぎていくのに、私は取り残されている気がします。

まだ引きずってるなんて、人には言えないし

自分の中でももう決着がついてると思ってるから、いいんですけどね。』


と、あからさまな嘘をついた女がいた。

f:id:miyamu49:20150429005140j:image


じゃあなんでそんな顔をしてるんだ。本当はそうじゃないんだろうけど、

まあそう彼女が腹落ちしてるなら、それでいいかと思った。


ここで『そんなことないんだろ!追いかけろよそいつのこと!』なんて黄昏時の少女漫画の男子高校生みたいなことを言うほどキャピってない。

あ、忘れようとする努力は無駄だよ。
忘れよう忘れようなんて思わない方がいい。
時間の流れに頼るしかない。

でも、人の記憶力の嫌なところだね。
風景、匂い、音楽、日付、地名、いろんなところから記憶に結びついて来る。
きっとまたその人のことを思い出す日が来るよ、残念だけどね。
久しぶりに思い出す人のことは、案外笑い話になったりするよ。
だから安心して今はその人のことを思えばいい。


青ざめた顔をしていたから、少し楽になるかな。

人を好きになることは、嫌いにならないでくれるといいな。

誰のことも好きでない時間は、自分のことも好きになれない時間だからね。

季節が進みもしない、春も夏も秋も冬もない。せっかく四季の国に居て、四季の恋ができるんだから、疎ましいくらいに誰かを想うといい。

1人のことでもいいし、場合によっては2人、3人、もっとでもいいんじゃないかな。器用ならね。

自分に嘘をつくのもたまには良いかもしれない。
私はこの人を好きなんだ、って嘘がいつしか本当になったりする。
本当になったあとで嘘を愛おしく思い返せる日もきたりする。

何があるかわからないし、案外目まぐるしく君を取り巻く季節も変わるよ。

その季節の話をしよう、
その季節の恋をしよう。

穏やかな恋の始まりも、
燃えるような恋の盛り上がりも、
色鮮やかな恋の戯れも、
白く尽きた恋の終わりも、

すべてを受け入れて季節を過ごしていけばいい。
季節に流されて、忘れることは忘れて、想うだけ想って、また春になるよ。

桜が散りましたね。次は夏ですかね。
f:id:miyamu49:20150429011216j:image