彼と朝と
『朝早く彼が仕事に出かける時、
私を起こさないように
そっとベッドから出て準備するのね。
薄目あけて見てるんだけど、
すごくその仕草が愛おしいの。
バタンと閉まったドアの音聴いて、
少しの合間お願いをするの。
忘れ物してますように、って。
意外とお願いって叶うのね。
またそっと忘れ物を
取りに帰ってくる彼に
今起きたフリをして
今度はちゃんと おはよう と
行ってらっしゃい で送り出すの。
一息ついて、彼の匂いの残る毛布を抱きしめて二度寝。幸せの限りよ。
陽が真上に上がる頃、名残惜しく着替えて
髪を巻いて軽く化粧して。
最後に思いっきり部屋に香水振るの。
この部屋に、このベッドに、
彼の彼女が戻ってくるなんて許せない。
私の香水がバレて別れればいいの。』