花と女
振られた、と泣いた女がいた。
そうか、振られたのか、それで?と僕は35℃の体温で返した。
『でもね、まだ好きなの、何が好きなのかすらわからなくって、でも好きなの。』
じゃあそれ伝えればいいんじゃない。電話通じて僕の耳にいれてもしょうがないよ。
『そうなんだけどね、もう会えないかもしれないの。彼女できるとおもうの、あの人』
わがまま言いなよ。彼女じゃないなら彼女じゃないなりにわがまま言いなよ
しばらく黙った後で、うん、わかった、と小さくつぶやいて数日。
『ねえねえ!!!この前の日曜日、彼にあってきたよ!寄りをすぐ戻せるかどうかっていわれれば、きっと答えはNOなんだけど、それでもね、行きたいところに行けたの!』
どこ?
『お花屋さん!』
小2みたいだな。なんでお花屋さん?
『彼に買ってほしいお花があったの。スイセンっていう黄色の綺麗なお花知ってる?』
あんまり詳しくない。
『彼も知らないって言ってた。だからね、帰ってスイセン調べてっていったの。私スイセン大好きなのって言ったの。大嫌いなんだけど、大好きって嘘ついたの。』
iPhoneにイヤフォンつないで ふーん と適当に話を聞きながら、疲れた指先でスイセンについて調べた。
口下手な僕は花言葉に詳しくなろうと思った夜中の三時でした。